井戸の中です:アオイキサス

 

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 やがて聴こえなくなる

sheep.jpg


女は幼い頃に耳にすると必ず涙がこぼれて
止まらなくなる歌を持っていた

何故そんなに悲しくなるのか?
自分でも分からなかった

母親が悪ふざけで歌ったりするのが本当に嫌だった
学校での合唱発表会の時に危うく自分のクラスで発表するのが
その歌に決まりかけた時は肝を冷やした

そういった場面で選ばれるのだから
その歌の歌詞は全く悲しいモノではない
多分メロディーラインが悲痛なのだと思い
ひょっとしたらメロディーで人を殺す事も出来るんじゃないか?
と幼心にも思った事があった

ある程度分別のつく年齢になった今
女はその歌詩を思い出せない
あれだけ涙を流させられたメロディーすら浮かんで来ない

浮かんで来るのは日々の仕事と雑念や別れた男の事
そして現実・・・

気付いたのは歌が無くなったのではなく
これまでの生活の中で一度は耳にしているであろうその歌よりも

悲しいモノを知った自分
頭で考えてしまう自分
涙をあまり流す事が無くなった自分だった
身体で感じるほうが本当は楽なのに・・・

女はこぼれてゆく砂塵のような日々を
かき集めたい衝動に駆られた
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13:00 | 思考回路
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 0713~雨の足跡の女~

wale.jpg


沢山の水が空から落ちてきている

それは「雨」というものらしい

雨と言うものに個人的に不快指数が上がるとその人は言う

その指数が上昇する時間帯は皆持っているとは思う

キレイさっぱりと流しきってくれる気がして好きだとあの人は言う

逆に色々なものが染み込んでくる気がする時がある

世の中に溢れる色がはっきりするから嫌いじゃないとかの人は言う

見えなくて良いものが露見する場合だってある

全ての色が洗い流されたその球体の上で

透明の薄い膜で形成された美しいもの達が

ヒッチコックのような世界を繰り広げていたとしたらと女は想像する

「わたしだけはきっと鮮やかな色のままのはず」

妄想している身体の斜め向こうのトタンに雨脚が激しく打ち付ける

隣に寝ている人は夜の闇では色が無い

朝が来たら好みの色になっているだろうか?

透明だったらどうしよう?





02:27 | 思考回路
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 2から5の間

アイツは廃人のようだった

体と頭の螺子が止まる音がした
空の青と反比例して黒い部分を浮き彫りにしていた

複雑な夢を見てばかりだった
けれど殆ど覚えてはいない

アイツは外に出て何かを求める気で・・・
しかし実際は何も求めてはいない
そんな振りをしているだけだ・・・

街は金色に輝く日々に包まれていた
太陽だって黄金色だ

昔この国は黄金の国と西洋に伝えられていた事を
アイツは考えていた

光・・・つまりは何かと眩しいモノ
それを見ると我々は眼を閉じる

その行為は潜在意識の中で
嫉妬と敵意で満たされ劣等感を産む

輝いているものに対して
魅了されるのと同時に
迫害と強奪のスイッチがどこかで押される

アイツはそんな事を考えていて

自分自身は輝く気なんてないし
何億光年も離れた所から見つけられ
勝手に名前を付けられ
カテゴライズされている星のようにはならない
だからスイッチを押される事も無い
ただ押し放題なだけだ

そう言って晴天の空に消えていった
20:30 | 思考回路
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 産め、梅、熟め、埋め

cherry3.jpg

「お前は ウメの咲く頃に子をウメ! と言われ産まれた子なのよ」

今この梅を見て幼い頃にそう聞いた事があったのを思い出した

なのに付けられた名前はサクラで
 
しかもその話を聞いたのは

花も咲かないような冬の凄く寒い日だった

cherry4.jpg

「サクラ」と言う名なのに 桜には一切興味が無い

桜餅だって嫌いだ・・・

「サクラ」と言う言葉でまず浮かぶ事なんて「回し者」位だ

それよりも「ウメ」と言う単語に反応してしまう

彼女は「このウメのように私にも可愛らしくいれた頃もあったのよ」

と自身で友人に言っていた事があるなと目前に広がる景色を見て思う

cherry2.jpg

白い梅を眺めているサクラは気づけばそこそこの年齢になっていた

たいして激的な出来事があったわけではないが

ここまでの私の人生でこの梅の花ほどの数の出来事が起こっているのだ

そう思った彼女は「なかなかすてたものではないな」と思う

cherry1.jpg

サクラと言う言葉はサクラでしかない・・・遊び心がない・・・

ウメと言う言葉には沢山の意味がある

そんな風に思いながら

そっと花の近くまで寄ってみる

サクラが梅に近づいたのだ

一つ一つの花びらが寄り集まって出来ている花と言う事実

一つ一つの出来事がより集まっている日々と言う事実

それらの事を

綺麗なピンク色だと捉えるか?

下品なピンク色だと捉えるか?

熟めもっと熟め 私

cherry5.jpg

そう言っていたサクラと言う名だった彼女は今

梅の木下に 「埋め」 られ眠っている

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物語:アオイキサス


01:31 | 思考回路
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 霞とポスト

アパートの一階にある集合ポストを片っ端から

開けては閉め開けては閉めを繰り返す青年

その内の一つに弁当が入っていた

貧乏生活の青年はそれを食べた

次の日にも弁当は入っていた

青年は食べた

2年後



ポスト

その前

初めて青年は

そのポストの女性と鉢合わせ

自身が行った行為を彼女に伝える

事実を告げた後に沈黙の時間が流れ

女性は作り笑いではなく笑顔で青年に答える

「それは私のものではありませんし気持ち悪いですね」


青年が食べていたものは一体何なのか?

人間の霞のようなものなのか?

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物語:アオイキサス
03:48 | 思考回路
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