井戸の中です:アオイキサス

 

 スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:-- | スポンサー広告
-    -

 やがて聴こえなくなる

sheep.jpg


女は幼い頃に耳にすると必ず涙がこぼれて
止まらなくなる歌を持っていた

何故そんなに悲しくなるのか?
自分でも分からなかった

母親が悪ふざけで歌ったりするのが本当に嫌だった
学校での合唱発表会の時に危うく自分のクラスで発表するのが
その歌に決まりかけた時は肝を冷やした

そういった場面で選ばれるのだから
その歌の歌詞は全く悲しいモノではない
多分メロディーラインが悲痛なのだと思い
ひょっとしたらメロディーで人を殺す事も出来るんじゃないか?
と幼心にも思った事があった

ある程度分別のつく年齢になった今
女はその歌詩を思い出せない
あれだけ涙を流させられたメロディーすら浮かんで来ない

浮かんで来るのは日々の仕事と雑念や別れた男の事
そして現実・・・

気付いたのは歌が無くなったのではなく
これまでの生活の中で一度は耳にしているであろうその歌よりも

悲しいモノを知った自分
頭で考えてしまう自分
涙をあまり流す事が無くなった自分だった
身体で感じるほうが本当は楽なのに・・・

女はこぼれてゆく砂塵のような日々を
かき集めたい衝動に駆られた
スポンサーサイト
13:00 | 思考回路
comment(2)     trackback(0)

 0704~白昼夢~

BGM



東京 古本屋街 神保町

真昼に男はチェーン店でコーヒーを飲み女を待つ
女がやって来て何も頼まず「出ない?」と言う
二人は店を出る
女はコンビニでタバコを買う

男を連れて行こうとしていた昭和の喫茶店は閉まっていた
「まぁ良いんじゃない?次に見つけた店で」と男は言う
真昼の照り返しのきつい道で
どちらかと言えば夜の顔をしている二人は
なれない汗を少しかきながら歩く

ふらりと目に付いた蕎麦屋に入る
冷たいビールを頼み
次いであてのようなものを探したが
そういったものは夜しか出さない店なので
仕方なく蕎麦と刺身の定食を一人前頼み
二人でつつきながらなにやら時刻と不釣合いな話をしている
この二人は夜に会うべきではないのだろうか?

その光景を後ろの座敷から
家族で健全に食事している幼子が屏風越しに覗く

「昼の部はもう終わりなんです」
と蕎麦屋の女中が二人に声をかける
女の方が代金を払い
二人は店を出る事にする

街を歩きながら話をする
女は男の知っている女性の話をする
男は記憶よりも女の背丈が小さい事に驚く

次に入った店は昭和の香りが強い喫茶店で世界のビールが飲める店であった
情に溺れた昭和のタンゴが流れている

「こんな店があるなら最初からここにしたらよかったね」
と女は言い「赤ワインをお願い」と言ってトイレへ行く

戻ってきて窓際に座る女は言葉のセンスが良く
その姿佇まいは中世の絵のように美しかった
「前から思っていたけれど、小説に出てきそうな人だよね」と男は言った
女はワインを飲み干し男はタバコに火をつける

ドルトムントを頼む
二人は真昼の午後にエロスとは何か
日本人と異国人との異性間の感覚について話しながら
口説いているようなそうでないような空気を出していた

長い髪をかき上げ、タバコを吸い
男の目を見てビールを呑む女

少し酔ってタバコに火をつけ
眠たげに女の目を見ている男

「ねぇ、ピザ食べない?」

店には他に3,4人の一人で来ている客が居て
本を読んだり 物を書いたりしている
偶然なのか皆女の方向に向いて座っている

「見て。今気づいたんだけど、みんな私の講義を聴きに来てるみたい」
「昼間からアルコール入ってる男と女がエロスとかいっちゃって」

「昼間からこんなに楽しい話題を提供しているんだから良いんじゃない?」
「今晩の酒の席か、嫁さんか旦那との冷めた会話のネタには丁度良いでしょ?」

時間は知らぬ間に過ぎてゆく・・・

「そろそろ出ようか」
店を出る時に男が代金を支払う

時間は知らぬ間に過ぎてゆく・・・

帰りに女を電車の改札まで見送り
握手からハグに変わり手を振り去る二人

何故か男の携帯に昔の女から電話が入っていた

その後に先ほどの女からメールが来た
「この映画は絶対見て感想を聞かせて」と書いてあった

「全てはタイミングなんだよ」

先ほどの女が言っていた台詞を男は思いだし
その通りだと思い歩きだし
空が曇りだす
10:00 | Japan
comment(0)     trackback(0)

 N.Y.C.そのいちにさんしごろくななはち

暇じゃないけど 過去に渡り歩いた国について写真と共に綴ろうと思う

~自由と言う名の不自由編~

BGMは



でよろしくお願いします

liberty01.jpg

マンハッタンの最南端
バッテリーパーク(Battery Park)
バッテリーは電池の意ではなく砲台の意味
これから一人でフェリーに乗る

liberty00.jpg

いかにもアメリカな定番大道芸人
何でこんなつまらないものを撮ったのか・・・
旅人根性丸出しで恥ずかしい

liberty02.jpg

フェリーの上から見たロウアーマンハッタン
ホントにここは人種の闇鍋のような所だ
しかし建物の組み合わせが出鱈目だが統一感がある

liberty03.jpg

独立100周年を記念してフランスから来て永住し
アメリカ大陸を見つめる娘を見に来た
確か次の日が独立記念日だったので私は参上したわけである

liberty04.jpg

自由の女神はここだけでは無い 世界中にある
像は動けないのに自由だなんてナンセンスだ
その哀れな像の下に集う蟻どもが人間だ

liberty0506.jpg

マンハッタンの街並み
船上の私の隣で美しい異国の娘が男とイチャついていた
私はその光景と景色を繰り返し見ては思う

こういったパックツアーで行くような所ほどつまらないものは無い
女の子と見ていたとしてもそう思うという自分が
実に自由という名の不自由だと思うのだ



03:13 | N.Y.C.
comment(1)     trackback(0)

 抱擁のかけら

126506333149616405439.jpg


「抱擁のかけら」を見た

ペドロ・アルモドバルの作品が好きだ
彼の作品は全て見ている
毎回裏切らない
時間軸の感覚も凄く良い
スペイン語のリズム感も良い
私が歩いた道も時折出てくる

彼の作品を見ていて毎回思うのだが
悲惨で悲しい事柄も作中では暖かさに変化している

映像の中の色彩感がそうさせているのだろうか?
言語の持つ音感がそうさせているのだろうか?

この作品を見てふと思ったのが
この世に不幸な人など居ないんじゃないか?と言う事だ

美しいものは得ばかりではない
美しくなくても損ばかりではない

ぺネロぺ・クルスを初めて見たのは「open your eyes」だった
ハリウッドからスペインに戻って正解だと思う
彼女の持つ魅力が良く出ていて断然良くなっている

スペインのとある街を歩いていた時
彼女が妹と共にmangoの巨大広告に写っていた
それを見た時は魅了された
巨大なものは人を圧倒する気がする

逃げて出会うなんて素敵だと思う
ネガティヴはポジティブを産む

寺山修二の言葉にこんなものがある
「花が咲く日もあるさ さよならだけが人生だ」

記憶の中の幸福のかけらを集めたら
誰だって素晴らしい抱擁を得るのかも知れない
01:48 | 映像
comment(3)     trackback(0)

 0713~雨の足跡の女~

wale.jpg


沢山の水が空から落ちてきている

それは「雨」というものらしい

雨と言うものに個人的に不快指数が上がるとその人は言う

その指数が上昇する時間帯は皆持っているとは思う

キレイさっぱりと流しきってくれる気がして好きだとあの人は言う

逆に色々なものが染み込んでくる気がする時がある

世の中に溢れる色がはっきりするから嫌いじゃないとかの人は言う

見えなくて良いものが露見する場合だってある

全ての色が洗い流されたその球体の上で

透明の薄い膜で形成された美しいもの達が

ヒッチコックのような世界を繰り広げていたとしたらと女は想像する

「わたしだけはきっと鮮やかな色のままのはず」

妄想している身体の斜め向こうのトタンに雨脚が激しく打ち付ける

隣に寝ている人は夜の闇では色が無い

朝が来たら好みの色になっているだろうか?

透明だったらどうしよう?





02:27 | 思考回路
comment(0)     trackback(0)
| HOME | next
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。